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写真家、山田敦士 (ヤマダアツシ) 日々の活動。
Posted by - 2024.05.09,Thu
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Posted by Atsushi Yamada - 2010.09.05,Sun






今回、取材メディアを中心に、内容に関する問い合わせが非常に多く、主催者としての公式コメントを掲載いたします。
開催からあまり日数が経ってからUPするのも...と思い、てにをはのチェックもまだですが、取り急ぎ公開します。
(後日、改稿の可能性もありですが、ご了承ください)

++++++++++++


PHOTOGRAPHERS SUMMIT 7、ぶじ終了しました。
おかげさまで今回も成功と言えるイベントになりました。
反省点も多々ありますが、次回に向けて改善していけるように努めたいと思います。

じつは今回、開催に向けてさまざまな障害がありましたが、何とか乗り切ることができました。
すべては支えてくれた周囲のスタッフ、協賛各社のみなさまのおかげです。

「写真はアートだ」と明確なテーマを掲げたことで、一部では賛否両論もあったようですが、もともと賛否両論を巻き起こすことが目的だったので、狙い通りでした。

今回、大きなテーマを掲げたことで、僕がフォトグラファーズ・サミットを通じてやろうとしていることが、いままでより鮮明に伝えられたのでは?と思います。

アートとしての写真。こういうテーマを普通にやろうとすると、どうしてもアカデミックで難解なものになってしまう。
ほんの数時間のイベントで、面白おかしく、ある種のエンターテイメントとして、僕らが日々格闘している「写真」という大いなるものに対して、何かしら考えるきっかけを提示できたのではないかと思っています。

写真はアートなのか。
アートとは一体なにか。
そもそも、写真とは一体なんなのか。

それは僕たち自身の命題でもあるし、さまざまな表現がぶつかりあうことで化学変化が起き、出演者も来場者も、未来への何かを思考する。

PHOTOGRAPHERS SUMMITはそういう実験の場であってほしい、と思っています。

僕たちが、写真の未来をつくる。

これからもそんな気持ちで活動していくつもりなので、ご期待ください。


以下、雑感。

回を重ねるごとに、写真家が「ステージに立つ」ということの意味合いを、明確に意識するようになった。これは大きな変革だと思う。
いままでは、作品を壁にかけておけばよかった表現者自身が、ステージでショーアップされることによって、オーディエンスに対して「伝えること」や、エンターテーメントを明確に意識しはじめたというのは、ちょっと僕の予想を超えて成長している感がある。
ひょっとしたらこの活動を続けていくことで、21世紀の新しい写真家のスタンダードが生まれるかもしれない、というような手応えを感じている。
また、来場いただいているお客さんも毎回少しずつ、意識の高い方が集まっているように思う。
気軽に参加できつつ、来場者の意識にも変革をもたらすのが、このイベントの面白いところなのかもしれない。

ご出演いただいたプレゼンテーターのみなさんの作品も、かつてないぐらいバリエーションに富んでいた。

「どうやって出演者を選んでいるの?」という質問を最近よく受ける。純粋に、山田がフォトグラファーズ・サミットで見てみたい、と思う写真家に、ひとりひとり会いに行って出演をお願いしている、というのが舞台裏だ。

日本において、とくにメーカー系のギャラリーなどでは「ヌードNG」などの内部規定を設けていて、発表できないジャンルの作品が非常に多い。
また、ある写真雑誌では、街で撮影したスナップ写真でさえ、掲載できないという。

「もしお客様からクレームがきたら?」ということを恐れているそうだが、写真表現を支援すべき企業やギャラリーがこういった自主規制を設けているのは、とても残念だし、写真文化の将来を考えると、危機的なことだ。

だがPHOTOGRAPHERS SUMMITでは、ダッチワイフだろうが、死体だろうが、クオリティが高ければどんな作品だって発表できる。

吹き出すマグマのように、毎回、自由な表現が次々と現れてくる。
だからこそ、写真家自身もその場で鍛えられるし、未来を見つめることができるはずだと思う。
表現の自由としても、一切の規制をつくらない聖地であり続けたいという信念を持っている。

僕は今回、一部の出演者以外のスライドショーの制作や選曲、演出面やトータルのプロデュースを行なった。
全体の80%くらいの映像制作を手がけている。

過去のPHOTOGRAPHERS SUMMITでは、写真の邪魔になるという理由からあまり印象的な楽曲を使用することは避けていたが、「写真を知っている」人間が一歩踏み込み、ドラマチックな楽曲を使用する方向性を選択することで、作品そのものにより深い印象を与えることができるという新たな可能性に気付いたのは、自分の中で収穫だった。

スライドショーなどの映像はおもにAdobe Premiereで制作し、送出機材に合わせた最適なフォーマットで書き出しを行なっている。今回、モーションロゴの一部はAfter Effectsを使用、写真を引き立てる上で、効果的な見せ方ができるようになってきた。

リハーサルも白熱していて、実際、参加者の中には「こんなに真剣にやってるの?」と、戸惑った人もいたようだ。
このあたり、『PHOTOGRAPHERS SUMMITのつくりかた』と題して、プレゼン出演者のみなさんとのエピソードやイベントの裏側と合わせ、そのうち語る機会があれば面白いと思う。


次に、リコーアワードについて。

僕が今回、『RICOH AWARD』をリコーさんに「やりませんか」と提案し、はじめたのは、ある理由からだ。
最近、メーカーや企業主催のコンペティションが少しずつ、なくなってきている。
不況の影響もあるのか、残念なのは、写真賞を開催しても『費用対効果がない』という考えの企業があることだ。

事実、賞をもらったから?といってその人の人生が激変することはほとんどないし、世相の多様化もあり、写真賞の時代はおわったと僕は思っている。

だが僕自身、富士の新人賞をもらったときに「パブリックな場所で評価されること」で大きな自信を得て、写真家として作品を撮り続けていこうと決意した。
(このへんの詳細は、現在発売中の日本カメラ9月号のインタビュー P166-171に掲載されています)

新しい人が世に出ていく場はいつだって必要だし、もし仮にPHOTOGRAPHERS SUMMITがなくなって、僕たちが何も関わらなくなったとしても、『RICOH AWARD』だけがひとり歩きして育っていったら、それはそれで開催する価値があったということだし、面白いんじゃないかと思う。

残念なのは、アワードの初回というのもあるのか、全体的なクオリティがいまひとつ低かったこと。
もっと、「こいつから写真をとったら何も残らないんだろうな」というぐらいの、人生を賭けた渾身の作品を見たかった。

ハードディスクから引っ張り出して片手間にプリントしたような中途半端なものは、残念ながら見たくないし、「選ぶ」というのはある意味、その作品に対して責任を負うということなので、その点を理解した上で、ご応募いただきたい。

今回、選考において僕は、現在の完成度よりも「今後の可能性」ということを重視して選んだ。
それは反面、圧倒的な完成度の作品が少なかったという裏返しでもあるけど、少しでもその人に光る部分があれば長所を伸ばしてほしいと思い、選考している。

また、他の選考委員からもステージで説明があったが、応募作品のプリントのクオリティに関しては、応募者のみなさんは再考いただく余地があると思う。
もともとが、ゆくゆくは海外に通用する写真家が生まれてほしい、という考えのもとにはじまった賞なので、オリジナルプリントで勝負できる作品がほとんどなかったのは残念だった。
このあたりは、ワークショップやトークショーなどで地道に伝えていくしかないんだろうな、というのが今回の僕の結論でもあった。

事務局としては、作品の管理上、原則返却不可、としていた部分にも選考委員の思いとは矛盾した部分があるので、この点、今後の反省材料のひとつだし、もっと明確に「アートとしての写真」の意味を事前に説明すべきだったかもしれない、というのが心残りでもある。
(この点、説明しすぎることで自由な表現が削がれる可能性もあったので、悩ましいところだった)

最後に、コンペティションの存在意義に関しての、僕の個人的見解。

海外では、賞を穫ることを「WIN」(勝利した)と言う。
つまり、あくまでのそのコンテストでの勝利者、という意味合いだ。

なので、惜しくも受賞を逃されたみなさんも、今回の選考には合わなかった、ということなので、気を落とさず別の機会にチャレンジしていただきたい。
ファイナリストに選ばれた14名のみなさんは、作品に何かしらの魅力を感じるからこそ、最後まで残ったわけで「選ばれた」という自信を持って今後も撮り続けていただきたい。

以上、長くなりましたが、今回のPHOTOGRAPHERS SUMMIT 7、いままでより少し前に進めたのではないかと思います。
次回、また新たな驚きを提示できるかどうか。
開催は来年だが、いまから少しずつ準備を進めたい。

山田敦士


++++++++++++


さて、やっとサミットもおわったし、次の冒険の準備をしようと思う。
何が起きるか、お楽しみに!

拍手[12回]

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Comments
お疲れさまでした
敦士さんは写真家としてだけでなく、プロデューサーやディレクターの立場から、写真というものを俯瞰で見て物事をすすめられているところがすごいと思います!

いつでも、わたしたちの憧れであり誇りです(^ ^)これからも応援しています♪
Posted by izu☆milk - URL 2010.09.06,Mon 14:19:46 / Edit
RE:お疲れさまでした
izu☆milk さん

応援ありがとうございます。
コメントいただいて嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
Posted by Atsushi - URL 2010.09.07,Tue 17:53:08 / Edit
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プロフィール
HN:
Atsushi Yamada
性別:
男性
職業:
写真家
自己紹介:
生きること。その一瞬の輝きを、写真で伝えていきたいと思っています。

作品WEBサイトはこちら
http://www.atsushiyamada.com


<プロフィール>
写真家。95年渡豪、路上の人々を撮り始める。帰国後、フリーランスへ。ファッション、グラビア、広告など幅広く活躍中。
富士フォトサロン新人賞2006受賞。
月刊コマーシャルフォト『100 PHOTOGRAPHERS』選出 (2007,2008)
月刊コマーシャルフォト別冊『PHOTOGRAPHERS FILE』掲載 (2009,2010)
その他、各メディアにて作品掲載多数。


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全国書店にて発売中
(160P 1500円・税別)
送料無料! 画像をクリック

~Amazon 紹介文より~
夜の喧噪、クラブシーン、雑踏、日常を膨大なカット数で綴り、富士フォトサロン新人賞を受賞した作品がついに写真集として発売。
選考委員から絶賛された気鋭の写真家が、自身の原点となるストリートで巡りあう、一瞬のシャッターチャンスに挑む。混沌、エロス、すべてを内包し、感性を揺さぶる本作品は、生きる、ということそのもののメッセージである。山田敦士 衝撃のデビュー作。

<帯文より>
この写真集を最後まで見た後、僕は人間の『生』を感じました。
一人一人の人生が、この中に沢山詰まっています。
人生とは、本当に素晴らしいものです。
MATSU (EXILE)


過去撮影したArtists/タレント
新垣結衣,岩佐真悠子,小倉優子,木村コウ,川村カオリ,倖田來未,甲本ヒロト,小西康陽,櫻井翔,佐藤隆太,スザンヌ,スピードワゴン,鈴木亜美,田島貴男(ORIGINAL LOVE),田中知之,戸田恵梨香,野本かりあ,福富幸宏,藤木直人,ヒカル(BOUNTY HUNTER),宮崎あおい,矢口真里,Base Ball Bear,EMMA,EXILE,Hi-Fi CAMP,JAFROSAX,JESSE,KEN ISHII,MOTOAKI,m-flo,RAM RIDER,Rio,UNDERGRAPH,UZUMAKI 他多数

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