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写真家、山田敦士 (ヤマダアツシ) 日々の活動。
Posted by - 2017.10.18,Wed
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Posted by Atsushi Yamada - 2009.04.16,Thu
 ここ数日、カラーネガプリントのため、ずっと暗室にこもっていた。


暗室では、まずベタ焼き(コンタクト)と呼ばれるプリントを作る。

フィルムを直接、ネガに焼き付けたものだ。

この中から採用のカットを選び、本番のプリントを焼いていく。


モノクロプリントは、セーフライト(赤いライト)の下で作業できるけど、カラーは"全暗"、つまり真っ暗な中でないと、印画紙が感光してしまうのでほとんど手探りの作業だ。


基本的なやりかたは、モノクロの暗室作業と同じ。引き延ばし機のキャリアにネガをセットし、ピントグラスを使い、ピントをあわせる。

(ベタ焼きの場合は、無反射ガラスに圧着させたネガに光を当てるだけで、ピントあわせは必要ない)

適切な露光秒数をあわせ、本番プリントの時にタイマーを使って露光すると、薬剤面に光があたり、感光する仕組みだ。


モノクロと違うのは、引き延ばし機にY(イエロー)M(マゼンタ)C(シアン)3つのフィルターチャンネルがついていること。

この3つのつまみをいじることで、カラーバランスを調整する。


と言っても大体、シアンのフィルターはゼロの数値のままで固定し、YMの組み合わせを変えることでさまざまな色のバランスを作る。だけどなかなかこの色の感覚を覚えるのが、最初はすごく難しい。

さらに難しい点は、露光時間が変わるとカラーバランスも異なってくるし、色を変えるとそれによって露出係数が変わり、光を当てる露光時間が変わってくること。

なので、一枚の印画紙を縦に5~6枚カットしたテストピースをつくり、何度かカラーバランス、プリント濃度のテストをしたあと、本番プリントを焼く。


露光したプリントの現像は、33.3℃±0.3℃というシビアな温度管理が要求される(液温が一定でないと、カラーバランスのデータが変わる)から、CP32、CP51などの自動現像機(ペーパープロセッサー)を使用するのが主流だ。紙を流し込むだけで一台で現像・定着・水洗を自動的に行なってくれるので便利な機械。

ただ、家庭用プリンタに比べると高額なため、個人の趣味レベルでは試しに使ってみることが難しく、それがネガプリントのハードルを高くしている。



http://www.fujimoto-photo.co.jp/web/products/lucky/processor/index.html


写真を覚えてしばらくした頃、どうしてもカラープリントを自分でやりたくて、当時、新品だと150万以上のプロラボ用引き延ばし機『オメガ ダイクロII』を楽天オークションで落札。本体だけでなくローデンシュトックのレンズ2本付き。

おまけに、ラッキー(藤本写真工業/現ケンコー傘下)で輸入販売をしていたポータブル自家現像処理機、『NOVA』が付いて総額5万円、という超激安価格だった。


これはもう買うしかない!と思い、勢いあまって暗幕やら何やらそろえ、自分の部屋を暗室に改造し夜ごとプリントしていた。

(引き延ばし機があまりに重くて、送料だけで1万5千円もかかったというオチもある)

僕はまともに学校で写真を習ったことがないので、ああでもない、こうでもないと日夜試行錯誤、プリントワークに関する雑誌や書籍を読みまくり、ネットで情報を拾って、独学で覚えた。薬品を調合していて気分が悪くなったことだって何度かある。

でもあの時にいろいろと試行錯誤した結果が、いまの表現に確実に生きている、とも思う。


ちなみに、引き延ばし機についてきた『NOVA』という現像機、トースターのような細長い穴が上部に空いていて、露光した印画紙をその中でチャプチャプ動かして現像や定着をおこなうという、なかなか独創的な機械で(ヒーター内蔵で液温は安定している)、ずいぶんとお世話になった。

水洗、乾燥はできないので、定着後はバットでお風呂場に持っていき、流水で洗い、新聞紙の上でつり下げて乾かすという、超アナログなシステム。

(※現在は販売終了)

http://www.fujimoto-photo.co.jp/web/products/lucky/nova_p/index.html




コストや初期投資は安いけど、手作業でやる分、現像ムラが出やすいという欠点があり、全自動のCPシリーズに慣れたいまとなっては、あらためて買うことはないと思うけど...。

さて、デジタル全盛のいま、東京近郊の人にとってはレンタル暗室がいくつかあるけど、一番困るのは情報と設備のなさだと思う。

とくに東京以外の都市に住んでいる人、僕も以前、地元熊本にいた頃から自家プリントしていたけど、唯一設備のあった大学も外部の人にはなかなか貸してくれなかったり、機材のメンテも不十分でプリントにキズがついていたり、相当苦労させられた。もちろん、個人でおこなう設備投資や材料費など、お金の面でも。

だけど、地方は都市に比べて情報や設備は負ける反面、家賃が安いなど、アドバンテージは絶対にあるので、たとえば写真仲間を見つけて、暗室を共同でつくるなど、いろいろと工夫してほしいと思う。

都内に住んでいる人は、それだけで恵まれた環境にいるわけだから、いずれ...と言わず、すぐにでもアナログプリントにトライしてほしい。


レンタル暗室のドゥプリントでは、ネガフィルムを持っていけばインストラクターの片山さんがプリントの仕方を丁寧に教えてくれます。(2時間5000円・要予約)

DO PRINTS ベーシックコース


「山田敦士のブログを見て来ました」と言っても安くはなりませんが、片山さんはたぶん喜びます。



暗闇の中、浮かび上がる像は、自分だけのイメージの中から立ち上るもの。暗室にこもると、とたんに魔法使いになったような気がする。

そして、デジタルには絶対だせない、独特の色、粒子感といった、言葉ではうまく説明できない『風合い』が、銀塩ネガプリントのもっとも素晴らしい部分だと思うので。


JUGEMテーマ:写真

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Comments
無題
初めまして。デジタルの時代になってもフィルムが好きだとか言いつつ、今まで自分の手で焼いた事がなかったんですが、ブログを読んで挑戦してみようかなと思いました。難しそうですが、「風合い」というのがどんなものか、とても楽しみです。
Posted by yutaka - 2009.04.19,Sun 22:01:05 / Edit
無題
yutakaさん

はじめまして。
カメラ歴より、Photoshop歴の方が長い僕としては、散々、テジタルワークを追求してきましたが、暗室にこもってみるとRAWデータをいじるだけでは絶対に出せない色味や、粒子感があるな、とあらためて思います。

もちろん、使用するフィルムなどの選択肢にもよるので、デジタルか、アナログかが意味をなさないケースもあります。

なので、僕はカラーの暗室作業はある程度頭の中で計算しつつも、あえてデータを突き詰めず、ある程度いい加減に転ばすというか、そういう焼き方をしています。
質感や、存在感を表現するという意味合いでは、重要な要素だと思うので。

一番大切なのは、デジタルであれフィルムであれ、なぜその機材を選択したのか、という理由ですね。

そういう意味では選択肢は多い方がいいし、これからも銀塩はなくなってほしくないですね。
できたら、もっと気軽に楽しめる環境があれば、と思います。
Posted by アツシ@管理人 - URL 2009.04.19,Sun 23:52:18 / Edit
無題
もうすこし経験を積んだら フィルムと現像にも
チャレンジしたいと思ってます
質感 物質感 存在感 粒子感 そして 五感  
とても大切に思います
最終地点までの道程も

勉強になりました
ありがとう
Posted by namegaichiye - 2009.04.20,Mon 02:03:53 / Edit
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プロフィール
HN:
Atsushi Yamada
性別:
男性
職業:
写真家
自己紹介:
生きること。その一瞬の輝きを、写真で伝えていきたいと思っています。

作品WEBサイトはこちら
http://www.atsushiyamada.com


<プロフィール>
写真家。95年渡豪、路上の人々を撮り始める。帰国後、フリーランスへ。ファッション、グラビア、広告など幅広く活躍中。
富士フォトサロン新人賞2006受賞。
月刊コマーシャルフォト『100 PHOTOGRAPHERS』選出 (2007,2008)
月刊コマーシャルフォト別冊『PHOTOGRAPHERS FILE』掲載 (2009,2010)
その他、各メディアにて作品掲載多数。


1st 写真集『LOVE!LIFE!LIVE!』
全国書店にて発売中
(160P 1500円・税別)
送料無料! 画像をクリック

~Amazon 紹介文より~
夜の喧噪、クラブシーン、雑踏、日常を膨大なカット数で綴り、富士フォトサロン新人賞を受賞した作品がついに写真集として発売。
選考委員から絶賛された気鋭の写真家が、自身の原点となるストリートで巡りあう、一瞬のシャッターチャンスに挑む。混沌、エロス、すべてを内包し、感性を揺さぶる本作品は、生きる、ということそのもののメッセージである。山田敦士 衝撃のデビュー作。

<帯文より>
この写真集を最後まで見た後、僕は人間の『生』を感じました。
一人一人の人生が、この中に沢山詰まっています。
人生とは、本当に素晴らしいものです。
MATSU (EXILE)


過去撮影したArtists/タレント
新垣結衣,岩佐真悠子,小倉優子,木村コウ,川村カオリ,倖田來未,甲本ヒロト,小西康陽,櫻井翔,佐藤隆太,スザンヌ,スピードワゴン,鈴木亜美,田島貴男(ORIGINAL LOVE),田中知之,戸田恵梨香,野本かりあ,福富幸宏,藤木直人,ヒカル(BOUNTY HUNTER),宮崎あおい,矢口真里,Base Ball Bear,EMMA,EXILE,Hi-Fi CAMP,JAFROSAX,JESSE,KEN ISHII,MOTOAKI,m-flo,RAM RIDER,Rio,UNDERGRAPH,UZUMAKI 他多数

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