写真家、山田敦士 (ヤマダアツシ) 日々の活動。
Posted by Atsushi Yamada - 2011.03.10,Thu
最近、欧米から入ってきた新しい言葉「zine」(ジン)
耳慣れない人も多いと思うけど、アーティスト本人が発行を手がける"少部数のアートブック"のこと。
写真の世界でも、こういった「zine」を発行する人が、昨年あたりからすごく増えている。
今日は、アートの世界で盛り上がりを見せている、この「zine」について、書こうと思います。
僕のまわりにも、自主制作のアートブックをつくり販売している写真家はたくさんいますが、僕個人は、こういった類いの「zine」に対しては、非常に否定的な意見を持っている。
写真はシャッターを切るだけで、誰でもアーティスト気分を感じることができる。
日常を記録したり、楽しみを共有するのも、写真の魅力のひとつです。
90年代半ば以降、サブカルチャーが盛り上がっていたときにフリーペーパーのブームがあり、これらの出版物は「ミニコミ誌」と呼ばれ、メディアも新しい出版の形態として、盛んに取り上げた時期がありました。
ところが、振り返ると、それらのほとんどが淘汰され、残っていません。
「非商業的なアートブック」
「利害から離れたところで、アーティストが自由な表現ができる新しい出版の形態である」
とか、聞こえはいいけど、僕にとってはたんに自費出版のフリーペーパーとしか思えない。
べつに、そのような表現の形式を否定する訳ではありません。
一般の写真好きのみなさんが、個人的にフォトブックで本をつくり、楽しむのはひとつの写真の形。
ただ、大したお金も労力もかけていないクオリティの低い本を「写真集」と称し、アーティストを名乗って販売するのはどうか、と思うし、メディアの人間が新しい潮流のように取り上げるのも?です。
写真家にとって写真集は、聖域のようなもの。
困難な壁を越えてこそ、出版する意義があります。
そのためには最低でも、全国の書店で販売される写真集をつくるという、難しいハードルを越えてやるんだという気概をみなさんには持ってほしいのです。
出版不況で、写真集が売れない → 仕方がなく自費出版もしくは、コストの安いフォトブックやオンデマンド印刷で本をつくる → 出来上がった小ロットの印刷物を「写真集」と称して販売する →世の中に安価でクオリティの低い印刷物があふれ、余計に良質な写真集が売れなくなる
写真の世界は、このような負のスパイラルに陥っています。
zineは、いずれなくなるか、誰でもつくれる印刷物として陳腐化していくでしょうが、写真界全体を考えたときに、こういったものを「写真集」として認めては、結果的に、いま以上に誰もが写真家を名乗ることができるようになり、地すべりを起こしてすべてが崩壊してしまうでしょう。
「zine」とかかっこつけずに自費出版とか、フリーペーパーと言えばいいのに。
そもそも、写真家ってそんなに簡単になれるんだろうか?
僕は自分の名刺に「写真家」と入れていますが、あえて名乗ることで、作品を発表し続けないといけない、という自戒の意味を込めて入れている。
肩書きなんてどうでもいいですが、僕の場合、富士フイルムの新人賞をもらい、写真集を出版してはじめて、そろそろ写真家と名乗ってもいいかな…と思ったぐらい、いまでも名乗るのが気恥ずかしく感じています。
10年以上、プロとして写真の世界でやっている僕としては、写真集には明確な定義があって、
(1) 自費出版系の出版社ではなく、きちんとした版元から出版すること
(2) ISBN(出版コード)を取得した本であること
(3) 全国の書店で流通する出版物であること
(4) 少部数ではなく、少なくても1000部以上の部数が「流通」していること
以上を満たすか、できるだけ満たす努力をすること。
じつは、上記すべてを満たすものは、数ある写真集でもごく少数だったりします。
つまり、すごく狭き門です。
じゃあどうすればいいの?という人も多いと思いますが、答えはシンプルなこと。
写真を撮り、発表し、パブリックな形で評価される(賞をもらったり、出版のオファーをもらう)こと。
昔もいまも、変わっていません。
要するに、写真がすべて、ということ。
評価されないからといって安易な方法に流れるのは、自分の首を絞めるのと同じですし、周囲にも悪影響があります。
リスクを負わない者に、真の栄光はありません。
以上、あくまでも僕個人の考え方なので、みなさん違う意見をお持ちでしょう。
それはそれで、価値観はひとりひとり違うわけだし、自分と違う人を批判することはしません。こんな考え方のやつがいるなと、参考にしてください。
表現というのは、誰もが到達し得ない高みを目指すこと。
そこに辿りつこうという「意思の力」こそが美しいし、人に感動を与えるのだと、そうあってほしいと思います。
耳慣れない人も多いと思うけど、アーティスト本人が発行を手がける"少部数のアートブック"のこと。
写真の世界でも、こういった「zine」を発行する人が、昨年あたりからすごく増えている。
今日は、アートの世界で盛り上がりを見せている、この「zine」について、書こうと思います。
僕のまわりにも、自主制作のアートブックをつくり販売している写真家はたくさんいますが、僕個人は、こういった類いの「zine」に対しては、非常に否定的な意見を持っている。
写真はシャッターを切るだけで、誰でもアーティスト気分を感じることができる。
日常を記録したり、楽しみを共有するのも、写真の魅力のひとつです。
90年代半ば以降、サブカルチャーが盛り上がっていたときにフリーペーパーのブームがあり、これらの出版物は「ミニコミ誌」と呼ばれ、メディアも新しい出版の形態として、盛んに取り上げた時期がありました。
ところが、振り返ると、それらのほとんどが淘汰され、残っていません。
「非商業的なアートブック」
「利害から離れたところで、アーティストが自由な表現ができる新しい出版の形態である」
とか、聞こえはいいけど、僕にとってはたんに自費出版のフリーペーパーとしか思えない。
べつに、そのような表現の形式を否定する訳ではありません。
一般の写真好きのみなさんが、個人的にフォトブックで本をつくり、楽しむのはひとつの写真の形。
ただ、大したお金も労力もかけていないクオリティの低い本を「写真集」と称し、アーティストを名乗って販売するのはどうか、と思うし、メディアの人間が新しい潮流のように取り上げるのも?です。
写真家にとって写真集は、聖域のようなもの。
困難な壁を越えてこそ、出版する意義があります。
そのためには最低でも、全国の書店で販売される写真集をつくるという、難しいハードルを越えてやるんだという気概をみなさんには持ってほしいのです。
出版不況で、写真集が売れない → 仕方がなく自費出版もしくは、コストの安いフォトブックやオンデマンド印刷で本をつくる → 出来上がった小ロットの印刷物を「写真集」と称して販売する →世の中に安価でクオリティの低い印刷物があふれ、余計に良質な写真集が売れなくなる
写真の世界は、このような負のスパイラルに陥っています。
zineは、いずれなくなるか、誰でもつくれる印刷物として陳腐化していくでしょうが、写真界全体を考えたときに、こういったものを「写真集」として認めては、結果的に、いま以上に誰もが写真家を名乗ることができるようになり、地すべりを起こしてすべてが崩壊してしまうでしょう。
「zine」とかかっこつけずに自費出版とか、フリーペーパーと言えばいいのに。
そもそも、写真家ってそんなに簡単になれるんだろうか?
僕は自分の名刺に「写真家」と入れていますが、あえて名乗ることで、作品を発表し続けないといけない、という自戒の意味を込めて入れている。
肩書きなんてどうでもいいですが、僕の場合、富士フイルムの新人賞をもらい、写真集を出版してはじめて、そろそろ写真家と名乗ってもいいかな…と思ったぐらい、いまでも名乗るのが気恥ずかしく感じています。
10年以上、プロとして写真の世界でやっている僕としては、写真集には明確な定義があって、
(1) 自費出版系の出版社ではなく、きちんとした版元から出版すること
(2) ISBN(出版コード)を取得した本であること
(3) 全国の書店で流通する出版物であること
(4) 少部数ではなく、少なくても1000部以上の部数が「流通」していること
以上を満たすか、できるだけ満たす努力をすること。
じつは、上記すべてを満たすものは、数ある写真集でもごく少数だったりします。
つまり、すごく狭き門です。
じゃあどうすればいいの?という人も多いと思いますが、答えはシンプルなこと。
写真を撮り、発表し、パブリックな形で評価される(賞をもらったり、出版のオファーをもらう)こと。
昔もいまも、変わっていません。
要するに、写真がすべて、ということ。
評価されないからといって安易な方法に流れるのは、自分の首を絞めるのと同じですし、周囲にも悪影響があります。
リスクを負わない者に、真の栄光はありません。
以上、あくまでも僕個人の考え方なので、みなさん違う意見をお持ちでしょう。
それはそれで、価値観はひとりひとり違うわけだし、自分と違う人を批判することはしません。こんな考え方のやつがいるなと、参考にしてください。
表現というのは、誰もが到達し得ない高みを目指すこと。
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プロフィール
HN:
Atsushi Yamada
性別:
男性
職業:
写真家
自己紹介:
生きること。その一瞬の輝きを、写真で伝えていきたいと思っています。
作品WEBサイトはこちら
http://www.atsushiyamada.com
<プロフィール>
写真家。95年渡豪、路上の人々を撮り始める。帰国後、フリーランスへ。ファッション、グラビア、広告など幅広く活躍中。
富士フォトサロン新人賞2006受賞。
月刊コマーシャルフォト『100 PHOTOGRAPHERS』選出 (2007,2008)
月刊コマーシャルフォト別冊『PHOTOGRAPHERS FILE』掲載 (2009,2010)
その他、各メディアにて作品掲載多数。
1st 写真集『LOVE!LIFE!LIVE!』
全国書店にて発売中
(160P 1500円・税別)
送料無料! 画像をクリック
~Amazon 紹介文より~
夜の喧噪、クラブシーン、雑踏、日常を膨大なカット数で綴り、富士フォトサロン新人賞を受賞した作品がついに写真集として発売。
選考委員から絶賛された気鋭の写真家が、自身の原点となるストリートで巡りあう、一瞬のシャッターチャンスに挑む。混沌、エロス、すべてを内包し、感性を揺さぶる本作品は、生きる、ということそのもののメッセージである。山田敦士 衝撃のデビュー作。
<帯文より>
この写真集を最後まで見た後、僕は人間の『生』を感じました。
一人一人の人生が、この中に沢山詰まっています。
人生とは、本当に素晴らしいものです。
MATSU (EXILE)
過去撮影したArtists/タレント
新垣結衣,岩佐真悠子,小倉優子,木村コウ,川村カオリ,倖田來未,甲本ヒロト,小西康陽,櫻井翔,佐藤隆太,スザンヌ,スピードワゴン,鈴木亜美,田島貴男(ORIGINAL LOVE),田中知之,戸田恵梨香,野本かりあ,福富幸宏,藤木直人,ヒカル(BOUNTY HUNTER),宮崎あおい,矢口真里,Base Ball Bear,EMMA,EXILE,Hi-Fi CAMP,JAFROSAX,JESSE,KEN ISHII,MOTOAKI,m-flo,RAM RIDER,Rio,UNDERGRAPH,UZUMAKI 他多数
本ブログ内にて、他のサイトから画像および、情報を流用させて頂いている場合があります。(写真展情報等) その際には記事内にリンクおよび、画像転載の旨を明記しています。著作権、肖像権には極力配慮して制作しています。
(C) Atsushi Yamada Photography 2007-2010 All Rights Reserved.
作品WEBサイトはこちら
http://www.atsushiyamada.com
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写真家。95年渡豪、路上の人々を撮り始める。帰国後、フリーランスへ。ファッション、グラビア、広告など幅広く活躍中。
富士フォトサロン新人賞2006受賞。
月刊コマーシャルフォト『100 PHOTOGRAPHERS』選出 (2007,2008)
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選考委員から絶賛された気鋭の写真家が、自身の原点となるストリートで巡りあう、一瞬のシャッターチャンスに挑む。混沌、エロス、すべてを内包し、感性を揺さぶる本作品は、生きる、ということそのもののメッセージである。山田敦士 衝撃のデビュー作。
<帯文より>
この写真集を最後まで見た後、僕は人間の『生』を感じました。
一人一人の人生が、この中に沢山詰まっています。
人生とは、本当に素晴らしいものです。
MATSU (EXILE)
過去撮影したArtists/タレント
新垣結衣,岩佐真悠子,小倉優子,木村コウ,川村カオリ,倖田來未,甲本ヒロト,小西康陽,櫻井翔,佐藤隆太,スザンヌ,スピードワゴン,鈴木亜美,田島貴男(ORIGINAL LOVE),田中知之,戸田恵梨香,野本かりあ,福富幸宏,藤木直人,ヒカル(BOUNTY HUNTER),宮崎あおい,矢口真里,Base Ball Bear,EMMA,EXILE,Hi-Fi CAMP,JAFROSAX,JESSE,KEN ISHII,MOTOAKI,m-flo,RAM RIDER,Rio,UNDERGRAPH,UZUMAKI 他多数
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