忍者ブログ
写真家、山田敦士 (ヤマダアツシ) 日々の活動。
Posted by - 2024.04.24,Wed
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by Atsushi Yamada - 2008.05.30,Fri
とあるAD(アートディレクター)の事務所にお呼ばれして、鍋の会。
クリエイター中心に、約10名ほどでいろりを囲んで、味噌鍋をつついて飲んだ。
アメリカ人のフォトグラファー、Nathanと写真の話をする。
僕の写真集を渡すと、最初から最後まで、じっくりと読んでいる。

「おまえは、何をテーマにして写真を撮ってるんだ?」

と彼は聞く。
英語での説明は難しいし、酒も入っていたので、まぁ何となく、みんなが生きてるって感じを撮りたいんだ、ということをいくつか答えた。
でも彼は納得しない。
この写真と、この写真はとてもかっこいい。COOLだ。でも、この写真はなぜ入れたのかわからない。おまえの写真はかっこよすぎるんじゃないか?この写真はまるでLAかどこかで撮ったみたいだ、おまえは日本にいて、日本の写真を撮ってるんだろ?だったら、その日常をもっと撮るべきなんじゃないか。
アメリカでは、たくさんのフォトグラファーがいる。生きてる、って感じを撮りたいのはわかる。でもそれは普通の理由だ。そんなフォトグラファーは世界中にたくさんいる。だからなぜ、日本人のおまえが写真を撮るのか、なぜフォトグラファーなのか?なぜ写真を撮る必要があるのか?それを知りたい。
"So, Why are you Photographer?"

日本人の写真家は、自分自身の言葉で、写真をプレゼンテーションすることに慣れていない。何となくもっともらしい言葉をつかって説明すれば、相手は納得するし、第一、コンセプトで写真を評価する、という文化自体がない。誰もが好むような雰囲気のいい素敵な写真を撮り、写真家の某さんのアシスタントだったんですねとか、某賞をお取りになった方なんですね、とか、あの人は有名だからとかそんなことで写真の評価が決まってしまうのは悲しい。しかし海外でのアートギャラリー、コマーシャルも含め激しいコンペティションで勝ち抜くには、そんなことではダメだという。

アメリカで評価されるには、マーケティングも必要だ。つまるところ日本人の写真家は、もっとわかりやすい、いかにも日本文化というような、例えば原宿や、秋葉原で撮影したポートレートを発表するのが一番受けがいい、という話もしていたが、さすがにそれはどうかな?と疑問だった。いわゆるフジヤマ、ゲイシャじゃないけど、ヨーロッパやアメリカの彼らがリアルなトーキョーを知らない、ということが、すごくもどかしい。世界一ファンキーで、マッドな街。結局、ここはいい意味でも悪い意味でも、隔絶された島国なんだと思う。

ブログで写真論的なことを書くと冗長になるので避けるが、もちろんコミュニケーションやノーファインダーの撮影方法、フレーミングの切り取り方で、被写体との関係性を模索していたり、なぜすべてをネガフィルムでなく、デジタルで撮影した写真を一部使ったか、最終的な写真の編集にいたるまで、話したいことはたくさんあった。それもNathanにとっては、凡庸だと、言われるかもしれない。思うとおりに説明できない、言葉の壁があった。
幸い前向きなので、落ち込むことはないが、グローバルな視点を意識して、なぜ写真を撮るのか、言葉でプレゼンテーションできるように、もっともっと、自分の写真を突き詰めていかなければと反省する、いい機会になりました。

...とまぁ、今回とても真面目なお話でしたが。鍋自体はとっても楽しかった。KIYOMASAさん、ありがとうございます。なによりいろりを囲んでというのが素敵でした。お会いした皆さん、また今度是非。

拍手[0回]

PR
Comments
無題
Why are you photographer?

いい質問ですね。あたしも先日ある人に「なぜ小説を書いているのか?」と聞かれました。自分を表現したいだとか、エッセイとかではなく物語にして人に伝えたい思いがあるのだとか凡庸なことを言ったため、その人はピンとこなかった様子で。後から「あたしはなんで書いてるんだろう?」と自問自答してしまいました。

他人に自分の作品或いは自分自身をプレゼンする事はとても大事だなとあたしも思います。そうする事で見えてくるもの、それが何なのかまだまだ勉強不足で明確には解りませんが、感じながら、できる限り多くの事を経験しながら生きて行ってやろうと思います。
Posted by NONAME - 2008.06.02,Mon 21:29:32 / Edit
無題
これって大事なことですよね。
いろいろな表現手段があるのに、なぜ写真なのか??

アイデンティティに対する文化の違いもあるのかと思いますが、
この部分がきちんと自分の中で消化&昇華されているかいないのかで、
最終的な作品の力強さに繋がってゆくのかと思います。
Posted by nan - 2008.06.02,Mon 23:20:08 / Edit
無題
ふむ。っていうか、この外人、日本語で聞けよ、と思いました。そしたら敦士さんも日本語で思ったこと言えたのに。嫌な感じ。敦士さん日本にいて、この外人も日本にいて、だったら日本語で話すべきで!英語ならどこでもオッケーと思ったら大間違いです!
まぁでも悔しさはバネになりますよね。
Posted by 通り菅井。 - 2008.06.03,Tue 04:39:36 / Edit
Post a Comment
Name :
Title :
E-mail :
URL :
Comments :
Pass :   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
TrackBack URL
TrackBacks
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
プロフィール
HN:
Atsushi Yamada
性別:
男性
職業:
写真家
自己紹介:
生きること。その一瞬の輝きを、写真で伝えていきたいと思っています。

作品WEBサイトはこちら
http://www.atsushiyamada.com


<プロフィール>
写真家。95年渡豪、路上の人々を撮り始める。帰国後、フリーランスへ。ファッション、グラビア、広告など幅広く活躍中。
富士フォトサロン新人賞2006受賞。
月刊コマーシャルフォト『100 PHOTOGRAPHERS』選出 (2007,2008)
月刊コマーシャルフォト別冊『PHOTOGRAPHERS FILE』掲載 (2009,2010)
その他、各メディアにて作品掲載多数。


1st 写真集『LOVE!LIFE!LIVE!』
全国書店にて発売中
(160P 1500円・税別)
送料無料! 画像をクリック

~Amazon 紹介文より~
夜の喧噪、クラブシーン、雑踏、日常を膨大なカット数で綴り、富士フォトサロン新人賞を受賞した作品がついに写真集として発売。
選考委員から絶賛された気鋭の写真家が、自身の原点となるストリートで巡りあう、一瞬のシャッターチャンスに挑む。混沌、エロス、すべてを内包し、感性を揺さぶる本作品は、生きる、ということそのもののメッセージである。山田敦士 衝撃のデビュー作。

<帯文より>
この写真集を最後まで見た後、僕は人間の『生』を感じました。
一人一人の人生が、この中に沢山詰まっています。
人生とは、本当に素晴らしいものです。
MATSU (EXILE)


過去撮影したArtists/タレント
新垣結衣,岩佐真悠子,小倉優子,木村コウ,川村カオリ,倖田來未,甲本ヒロト,小西康陽,櫻井翔,佐藤隆太,スザンヌ,スピードワゴン,鈴木亜美,田島貴男(ORIGINAL LOVE),田中知之,戸田恵梨香,野本かりあ,福富幸宏,藤木直人,ヒカル(BOUNTY HUNTER),宮崎あおい,矢口真里,Base Ball Bear,EMMA,EXILE,Hi-Fi CAMP,JAFROSAX,JESSE,KEN ISHII,MOTOAKI,m-flo,RAM RIDER,Rio,UNDERGRAPH,UZUMAKI 他多数

本ブログ内にて、他のサイトから画像および、情報を流用させて頂いている場合があります。(写真展情報等) その際には記事内にリンクおよび、画像転載の旨を明記しています。著作権、肖像権には極力配慮して制作しています。

(C) Atsushi Yamada Photography 2007-2010 All Rights Reserved.
ブログ内検索
最新コメント
[09/07 Atsushi]
[09/07 Atsushi]
[09/02 MARILYN]
[09/02 たま]
[08/28 Atsushi]
最新トラックバック
バーコード
アクセス解析
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]